トマトの縁

今日は朝から塩尻市の小口伴二先生のところへハウスの骨材をもらいに行きました。Happy village farmの育苗ハウスに使うためです。先生は長野県の農業試験研究機関に長く努めていらっしゃった方で、ご専門は野菜全般、育種、特にトマトに詳しい方です。県を退職後は自農センターのアドバイザーや研修生の講師をお願いしていて、わたわたもお世話になっています。今回は使っていないハウス骨材を譲って頂けるとのありがたいお話しを聞いて、いただきに行ってきました。
積み込み後、トマトの話題となり、先生も著者の1人である農文協の「作型をいかす」シリーズのトマトの本の話から、共著者の青木宏史さん(故人、元千葉県農業試験場技監)の話になりました。青木さんと小口先生は大学の同級生とのことでした。実はわたわたは以前努めていた会社で、千葉農試を退官された青木さんが技術部長として入ってこられ、数年間一緒に仕事をした経緯がありました。わたわたはトマトを勉強した本の著者お二方と縁をいただいているのでした。

青木さんは千葉農試時代に「千葉ファースト」という品種を育成しているのですが、小口先生がおっしゃるには非常に変わった育成経過で、当時も話題になったとのこと。接ぎ木した耐病性台木の病害抵抗性の一部が、交雑を経ずに穂木のファースト系統に移ったと考えられる系統を片親に育成したということです。それはいわゆる「接ぎ木雑種」でした。わたわた「千葉ファースト」の名前は知っていましたが、青木さんから詳しく育成経過を聞いたことはありませんでした。ファーストは育種素材の一部に使ってはいたものの、完熟型品種全盛の時代にあって、ファースト系を多数集めたりする経緯はなかったわけです。

しかし「接ぎ木雑種」に関わるなら話は別。
Happy village farmでも栽培している「ピートン二世」も接ぎ木雑種由来の品種。わたわたは学生時代から接ぎ木雑種の研究と関わってきました。交雑に寄らない栄養の交換によって作物が遺伝的にも変異する現象。そこは植物生理・生化学と遺伝学との境界領域。学術的な研究としても興味深いですが、実用技術としても大いに興味がもたれるのです。接ぎ木変異、それは実験室の要らないバイオテクノロジー。わたわたが幹事をしている「農の会」の前身は日本ミチューリン会。ミチューリンとは人の名前で、ロシアの育種家イヴァン・ヴラジーミロヴィッチ・ミチューリン(1855-1935)です。ミチューリンは、梨とりんごを接ぎ木することで交雑を可能にし、梨とりんごの雑種を作り出したり、梨の耐寒性を高めたりしています。数は少ないものの、接ぎ木をすることで何らかの有用形質が穂木系統に付与された例があるのです。

「千葉ファースト」もその1つであり、その情報を小口先生からうかがうとは。小口先生はわたわたが大学時代に接ぎ木変異に関わる研究をしていたことや農の会(ミチューリン)との関わりのことを知らないのです。

縁ってすごいなぁと思うと同時に、その縁を何らかつなぐ役割があるのかなと思いました。

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わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

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