農の会定例研究会

農の会2014年定例研究会がありました。会場はいつもの新宿農協会館です。リフォームされてちょっとかっこよくなってました。
農の会定研2014
今回は「農業にとって自然とは? 自然を活かす農業経営」がテーマ。基調講演として、東京農工大学名誉教授の尾関周二先生から「新たな文明・社会と農の歴史的意義」と題して農を人類史的な見方から捉えなおすという話を基軸にした講演、そして自然農法センター研究員の大久保慎二さんから「自然農法-生態系をつくる農のあり方」と題して農耕地を生態系捉えて技術を組み立てるという自然農法の考え方を提示してもらいました。その後、埼玉県和光市ベジタランド清水の清水誠市さん、長野県宮田村りんご屋すぎやまの杉山栄司さん、神奈川県愛川町NO-RA~農楽~の千葉康伸さんからそれぞれの農業の取り組みについて発表していただきました。

尾関先生の話は文明史なので、一見難しいのですが、良く聞いていると、なるほど今の時代をどう読み解くか、農の果たす役割や向かう方向は文明史からどう見えるのかが論旨であり、日頃捉えているTPPの問題、農的暮らしを求めるムーブメント、新規就農の動き、有機栽培・自然農法の役割などについて、個別ではなくそれらの動きを包む視点からの今を解題するものであると思われました。今まで、わたわたのなかで、人々の色々な試行錯誤どこへ向かうのかをぼんやりと描きつつも、どちらかというと個々の出会いや切磋琢磨・協同っていう段階にフォーカスしていたものが線や面としてつながって感じられるようになりました。
話を聞きながら、後の総合討論用にメモ書きをしていたのですが、
農の会定例研究会2014
こんなにわくわくしながら、メモをだだだだ〜っと書いたり、関連や対比を矢印で結んでノートをとったのは久しぶりでした(大学時代以来?)。本当に学問的見知からの話題提供って面白い!って思いました。農家同士ではなかなか持ち得ない視点を得て、語り合って深める。これぞまさに農の会でした。

総合討論ではやや時間が足りなくなった尾関先生の話のなかの「共生」社会の概念を深めるようにしてみました。そこへ向かう様々な動きのなかで、キーになるものの1つが農や食、健康に関する人のつながりをつくっていくこと、農への理解を広げる取り組みを重ねていくことと思われました。新規就農者自身は社会の行く末のために就農したわけではないとしても、人類史や文明史として今の時代を見たときに、農を通して人と人とがつながること、農-食-健康の距離を縮める動きというのは、共生社会へのパラダイムシフトを進める1歩に成り得るということなのです。それは具体的な事例報告の背景に確かに動きや方向性として透けて見えるものであると思われました。とはいえ、それはこれからの農を担う人たちが社会運動をしなければならないといった話ではなく、時代を俯瞰した時にどういう位置・方法性で歩んでいるのかを考えたり、確認したりする機会があるといいなという話なのだと思います。農について学び深める場としての農の会としては、こうした機会を提供していくことが役目であるなぁと思いました。

また共生社会、共生の農業のあり方として、生き物や自然を分割しないで生き物として捉えるアニミズム的な捉え方に科学的視点を加えて統合した観方が必要という指摘はまさに共感しました。自然農法は成り立ちから見ても共生の農法だと思いますし、技術として組み立てるうえで、また消費者へ農の現場を伝えていくうえで、大いに擬人的類推をつかって、人々に自然の在りようや人間の向き合い方を伝えていくことが、社会のなかへ共生系の発想をタネまきしていくことになると捉えられました。

講演の後、尾関先生にこの分野についてさらに勉強を深めたいと質問していた人がいたらしく、後日、先生から参考図書の紹介がありました。
掲載しておきます。
◆尾関周二,武田一博,穴見愼一,亀山純生編著『〈農〉と共生の思想--〈農〉の復権の 哲学的探求 』農林統計出版,2011
◆尾関周二,武田一博編著『環境哲学のラディカリズム--3・11を受けとめ脱近代へ』学文社,2012  

研究会後の懇親会も盛り上がりました。
3テーブルの分かれていましたが、テーブルごとに話題に花開き、交流が深まりました。
農の会、新時代が実感されるものでした。今回も柳下副会長(東京農工大学名誉教授)の人脈と若手の人脈とのコラボで今回のような研究会ができたなと思われるのですが、わたわたたちと同世代の現役研究者、学者さんとのつながりがほとんどないのが現状ですね。今回講演していただいた大久保さんのような若い研究者も大いに巻き込んで交流し、会とのつながりを築いていきたいと思いました。

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わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

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