がんもどき

わたわたの好きながんもどきは漢字を当てると「雁擬き」。精進料理にも使われる植物系の食材だけでつくった食品です。名前の由来は雁の肉に味を似せたからと言われています。似て非なるものだから擬(もどき)なのですが、本物の雁があまり庶民には馴染みのない食材なのにがんもどきは庶民の味としてもとてもありふれた食材になっています。それ自体を煮たり、野菜と炊いたり、おでんの具材など。そして精進料理としても、つまり1つのなかに全体を表現する料理を担う食材でもあるわけです。素朴でありふれた食材でありながら、究めようとすればどこまでも奥が深い。それは雁ではなく雁擬きならばこそだと思うのです。

雁などの野鳥は雁特有の風味を生かすしかない。雁自体は野生のもの、料理が過ぎれば素材が死んでしまうので、野性味をどう表現するかが要点になる。

雁擬きはどうか。雁擬きそのものを手づくりするところからそれを使った料理まで、まるで枠がない。すでにあるものの生かしどころというより、あらゆるコンセプトが盛り込めるので、料理のコンセプトそのものを表現することがポイントになる。豆腐から中に入れる素材から揚げる油まで徹底的に吟味した雁擬きならば、素材そのものの微妙な味わいを引き出す料理になろうし、食べ盛りの子どもに受けの良い料理なら、がっつりした煮物にするための味つけがポイントになる。雁擬きは雁のもどきではなく、「雁擬き」という自立したものなのだ。

雁と雁擬き。それはどちらかが本物でどちらかが偽物というものではなく、それぞれ独自の理に属するもの。

そこで、思う。
そもそも擬きってなんなのだろう。
わたわたは信じる。どんな擬きであれ、精進することが本物になるということを。

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わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

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