蜘蛛の糸その後

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」にはいろいろな続編をいろいろな人が書いたものがあるらしい。ネットで検索して楽しんでみました。わたわたもどこかで1つ聞いたことのあるストーリーを知っているのだが、同じものはなかったです。わたわたの知っている続編を思い出しながら綴ってみます。
はえ取り蜘蛛
たぶん、わたわたの脚色も加えられますが・・・・。
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蜘蛛の糸が切れて、下から登ってきていた罪人たちとともに再び地獄に落ちたカンダダは、初めは周りの罪人たちに当たり散らしていました。

しかし、冷静になるにつれて、糸について考えるようになりました。

「あの糸は生前に助けた蜘蛛の糸から来ている。たった1回だけの善行だけど、それでもこの地獄から抜け出ることができるかもしれない救いがやって来たということだ。」

「もう一度、糸は降りてくるだろうか? 降りてきて欲しい。・・・どうすれば糸が降りてくるだろう?」

「善行をすればいいのかもしれない。やりたくもないし、どうやるのかも分からないが、それ以外には考えつかない。」

「そう言えば、生前も、地獄に来てからも、俺は自分のことしか考えないで、周りに横暴ばかりやってきた。糸が切れて落ちてからも、周りの連中に当たり散らしていたな。これではまず糸がくる見込みがないぞ。」
「ダメ元でやってみるか。もし罪人相手でも善行をすれば糸が降りて来るようなら、善行を多めにやったら糸も何本かくるだろうか? 数本よれば切れない糸になるかもしれねぇ。試してみるか。」

こう考えたカンダダは、早速実践を始めました。

とはいえ、死んでも悪人のカンダダなので、なかなかうまくいきません。たくさんの拷問やら試練やらは自分だって苦しい。しかしカンダダは諦めず、機会を見つけては、他の罪人に良いことはできないか、毎日毎日、そればかり考えるようになりました。
ある時、道を譲ったり、新入りの罪人に声かけをしたり、話を聞くことで、罪人たちの顔から少し苦しみの表情が和らぐことを見つけました。

「こいつはいい。俺だって辛い地獄だが、話せば少しは楽になるだろうし、生前の話を聞くのは飽きねえからな。こんなんでも少しは善行だろう。」

当初は善行目的に他の罪人を利用しようとしていたカンダダですが、そのうちに人の話を聞くのが面白くなってきました。自分の知らない人生、地獄へ落ちた理由どれも興味深い。自分は悪行の限りを尽くしてきたと思っていたが、もっと酷いのもいるし、俺からみれば善人だろうがっていうのもいる。地獄に落ちるものもいろいろだな・・・。

そのうちにカンダダはある罪人から聞いた話を別の罪人に話して聞かせたり、罪によって行く地獄が違うことなどのうんちくがたまっていきました。一方、カンダダに話を聞いてもらったり、うんちくから地獄のことを知ることのできた罪人のなかには、自分がどうして罪人になったのか、あるいはその罪の重さを反省するものが現れるようになりました。

地獄というのは不思議なところで、自ら罪を振り返ることのできた魂は、拷問が軽減されていくのです。しだいにカンダダに話を聞いて欲しい、カンダダからアドバイスをもらいたいという罪人たちがカンダダを訪れるようになりました。カンダダ本人は人の昔話や自分が行ったことのない地獄界の話を聞くのが面白くて、ただ聞いたり知っている話をしてあげているだけだったのですが、噂は噂をよび、地獄に仏とさえ言われるようになっていったのです。

そんなある日。カンダダの前に天上の雲の隙間から、再び蜘蛛の糸が降りてきました。それは以前より少し太くなっていましたが、やはり蜘蛛の糸のようでした。

「すっかり忘れていたが、そうだ、自分はこの糸を再びたらして欲しくて今までやってきたんだった。」
「ようやく糸が来た。今度は慎重に登ろう。」

「この糸は皆でぶら下がったら切れてしまうが、1人ずつなら上の界へ確実に登れる糸だ。自分がこの糸を登っている間にだれかが下から登ってきては元も子もない。かといって、1人ずつ登れと言って聞くような罪人どもでもない。とすれば、自分は後から登ることにして、罪人どもを1人ずつ登らせてやろう。」

雲の隙間から差し込む光に気づいて、罪人たちが糸の周囲に集まってきました。
罪人たちは糸を持っているのがカンダダであることが分かったので、すぐに糸に飛びつくのではなく、様子をうかがっています。

「おい、お前ら。この糸は俺の元へ降りてきた糸だ。俺のものだ。だが、1人ずつなら切れないから、誰でも登っていけば上の界へ出られる。俺が下で見張っていてやるから、1人ずつ順番に登っていけ。そうすればいずれ全員出られるぞ。」

そういうと、カンダダは糸の下端で罪人たちの話を聞き、登る順番を決めてやって1人ずつ登らせることを始めました。
たくさんの罪人の話を聞くうちに、自然と罪人を仕分けたり、順番づけができるようになっていたのです。
「お前は反省が足りねぇな、罰が当たったてのが分からねぇのかい。いいか良く聞けよ、その罪はだなぁ・・・・」そんな風に解説するもので、カンダダの話には説得力があり、罪人たちはカンダダに話を聞いてもらい、素直に順番を受け入れ、落ち着いて順番待ちをしていました。

地獄から罪人がいなくなることはないので、カンダダはずっと地獄から出られませんでした。
しかし、それによってカンダダは損をしたとは思わないようになっていました。
救われたい一心で始めた話を聞くことが誰かを救うことになっていることに気づいたのか、気づかずにいるのか。お釈迦様はカンダダを天上界へ迎え入れる準備をとっくに終えていますが、カンダダがあまりに楽しそうに人の話を聞いているさまをみて、もう少し先でいいなと思っているようです。

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わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

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