土佐自然塾2日目

午前中が講義でした。テーマは自家採種・育種について。例年は自家採種の考え方や方法、そして作物ごとの各論の解説がメインなのですが、いつも講義しながら思っていたことは「育土や栽培の話は実際に栽培している人が聞くと、なるほどそう捉えるのか、そんな見方があるのかと分かりやすいのだけど、自家採種は実際に取り組んでいる人が聞くわけじゃないので、どうしても単なる知識情報になってしまうな」というものでした。実際に取り組むというのは、単にタネとりしているっていうことではなく、タネとりする株を選んだり、株ごとにタネをとって比較したりと、作物の個体差をしみじみと観察したり、自家採種によってどのように自分の栽培に影響が現れるのかを実感したりということです。そんな実体験がないところで具体的な話をしてもあまり役立たないなと。

そこで考えました。知識情報なら知識情報として、自家採種や育種って何なのか? 農業のなかでどんな位置にあるのかという大きな視点から捉えた話にしようと思ったのです。それなら細かい話は忘れてしまったとしても、品種選びや自家採種を意識したときに、それが自分の農業技術を組み立てていくうえで、どのくらいのプライオリティを持たせるべきかを判断するのに役立つでしょう。

同じ話をするにしても、その情報をどう使ってもらいたいかをプレゼンする側が意識して話すことだなと思うわけです。そうやって自分が話す内容の位置づけをしっかり持っていると、話ながらアドリブもいっぱい出てきます。

というわけで、今回の自家採種講義は「栽培植物の進化と有機農業における育種・自家採種の意義」と題してお話させていただきました。品種の個性をつかもうと思えば、その作物の基本的性質を理解していなければならず、それは植物の基本的な性質のなかでのその種の個性ということになります。そして植物の基本的な性質というのは、真核生物として生物進化の道筋のなかでつくられてきた。生物進化の歴史は地球の歴史そのものである・・・というわけで、地球の誕生、生命の誕生からスタートして、植物の歴史を眺め、栽培植物・農耕文化の起原にふれ、そして現存する作物の性質のなかにその片鱗が見え隠れすることを解説しました。

栽培の教科書で並列的に記載されがちな作物の性質を、生育ともに進化や人間とのつき合い史を表現している状態と観ることで、現時点の姿を見ているようで、実は時空を貫いて生きてきたその作物の歩みを観ていると理解することができるのです。人間の思考というのは、本来は時間も空間も超越した見方ができるのです。会話やコミュニケーションするように作物や畑を観察し、人間のなかで情報を統合して組み立てること。その繰り返しに最も役立つ方法の1つが世代を超えて作物と関わる自家採種・育種なんだろうと思います。そんな世界観を少しでも感じていただければいいなと思いました。

コメント

コメントフォーム

  • URL:
  • 本文:
  • password:
  • 非公開コメント:
  • 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

わたむすび

最新記事

プロフィール

わたわた

Author:わたわた

わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示

カテゴリ

月別アーカイブ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。