全てはこの世界にどう向き合うか

いつもの直売所に出荷に行った。ナスやピーマン類が売り場に溢れていて、明らかに供給過剰のようだ。こうなると決まって値下げ競争になってしまうのが大所帯な直売所の常´_`;)
ありえない値段のパプリカ
なぜ値下げするのかと言えば、安ければ買うだろうと考えるからだろう。高いから売れないのではなく、お客さんが少なくて余るほど野菜があるから、自分の野菜が選ばれる確率が下がっているということなのだ。安くしたから目にとまるかといえばそうでもないし、安いものを選ぶ人も当然いると思われるが、そういう人ばかりでもない。また安くした分、もし売れても儲けは減るのだから、冷静に考えるとあまり良いことはないはずなのだ。
しかし、値下げする人はどんどん値下げするのだ。
皆が150円くらいをつけているところに70円とか、この写真のパプリカのように周囲が350円に対して100円とか。

パプリカ3個100円には唖然としてしまった。

パプリカ3個350円ということは1個117円である。スーパーマーケットで1個当たり128円とかで売られているから妥当な売値だと思う。信州での夏秋栽培ではハウスを上手に使っても1株多くて15果から20果くらいが限界であろう。1果平均果重を150g、栽植密度1100株/10a、可販率75%くらいに考えると、おおよそ15000果/10a(2.2t/10a)くらいの収量になる。1果117円*0.7で82円が売り渡しの単価とすると、120万くらいの粗収と大雑把に考えられるだろう。手間のかかる作目ゆえ、このくらいは最低ラインで、技術があれば当然もっと増収・増益できるものと考えていい。

そう考えて3個100円を考えてみると、1個30円。もし0.7がけしたら21円。逆に30円から市場流通させて仲卸、スーパーと二段階を経た場合の売価は60円くらいになる。これじゃ輸入野菜のパプリカより安くなってしまう。
30円で15000果で45万円/10a。こんな価格つけたら農業としてはやっていけない。

このパプリカ100円をつけている人(福祉作業所らしい)は、野菜を売って生計を立てているわけではあるまい。
売れ残るのが嫌とか、自分のところの野菜だけが売れれば良いとしか考えていないのだろう。
パプリカがどんな野菜であるかも分かっていないから、適正な価格という発想がない。当然他の農家のことや地域農業のこと、直売所に農家や消費者が何を求めてくるかなんて考えることもないのだろう。
安易に値引きする農家の発想も似たようなものと言える。

狭い視野で売り場を見渡して、100円なら買うだろうという値段の付け方。
消費者を全く軽んじている。
パプリカの背負っているものを踏みにじっている。
農業も食も無視し、食べものではなくお金しかみていない。
とわたわたは思う。

自分のだけ売れれば良いという発想が全くひとりよがりである。
障害者支援施設であるなら、なおさら地域の人々とつながらなければならないのに。

買う人に何を買ってもらいたいのか。本当の理解を広げるための野菜栽培ではないのか。

野菜栽培を通して、また野菜販売を通して何を表現したいのか。
野菜の生長する様や自然に触れること、それは常に人間の根源を確かめる生き方ではないのか。
また価格とはその心を表現する機会なのであろうに。

「パプリカに値段をつける」ただそれだけのことのなかに、人と人との認めあえる関係を築いていくことや自然に生かされる人の本質に日々気づいていける生き方を現すことができるのだ。その扉は常に開かれているのに、扉の向こうを見ようとしない。そこにあるのにそれに気づかない。

今目の前にあるパプリカ1袋のなかに、パプリカ自身の歴史やそれを育ててきた人たちの関係や想い、自分たちが向かおうとしている未来、全てがつながって存在しているのだ。
ただ今日だけ100円で売れれば良いのではない。100円で売れば、自分たちのパプリカに費やした時間を100円と値決めし、100円の未来を選択しているということなのだ。
なぜそれに気づけないのかは日々の生活や所作の1つ1つが何からもたらされ、何処につながっていくのかという意識がないからである。

100円パプリカだけではない。

社会を見渡すと、
自分だけ、今だけ良ければという発想。身近な周囲とだけ見比べることや直近の都合しか考えない狭い視野の捉え方がいっぱいある。
自ら視野を狭めて、表面しか見ない、見ようとしない。
それは自分に危害が及ばないことを最優先する心のもやが立ちこめているということだろう。気を紛らわす安易な娯楽や何かや誰かを悪者にすることで思考を麻痺させ続けることが流行ることになる。

全てはつながっていて、1人1人の心の在りようが社会の風潮をつくっている。
私1人分の気づきや行動が良い社会も無関心で殺伐とした未来もつくっていく。
全てはこの世界にどう向き合うかなのである。

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わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

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