所外視察研修1日目

自然農法センターの研修生6名を引率して、神奈川の有機農家を訪ねる所外視察研修に行ってきました。1日目は小田原を中心に様々な有機農家が集まって共同宅配や広報や消費者交流などを行っているあしがら農の会。その代表をつとめる松本邦裕さんの「なんくる農園」(小田原)、隣の二宮町で炭素循環農法に取り組んでいる「ぽんぽこファーム」さんを訪問しました。

なんくるとは、琉球言葉の「なんくるないさー」=「なんとかなるさ」から来ています。松本さんは小田原出身(非農家)ですが、若い頃に沖縄で働いていて、沖縄の好きな言葉が何とかなるさ、前向きに行こうというなんくるないさーなのだそうです。松本さんは新規就農するに当たって、自然農法でやろうと決め、12年前、自然農法センターでも波田で3ヶ月、千葉で1年近く研修をしました。波田で研修していた時代に当時わたわたのいた部署で研修したということもあり、その後、あしがら農の会にも3年間ほどわたわたは講習にきていたこともあり、いろいろと情報交換はしてきました。とはいえ、今回の訪問はわたわたにとっても4年ぶりくらいになりました。
なんくる農園1
なるべく緑肥を使って外部投入を出来るだけ抑えて回していくというのが、なんくる農園の特徴です。履歴の浅い圃場では雑草に負けてしまうこともあるものの、しだいに作柄が良くなっていき、あまり極端な害虫による虫喰いがなくなっていく様子が分かりました。
なんくる農園3
この畑は前年冬から春に緑肥として使っていたクリムソンクローバがタネをこぼして雑草化していますが、小松菜が明らかに優先していて、小松菜とクローバでそれ以外の雑草を抑えてしまっているので無除草で出来ています。
夏にソルゴーを作付け、その後作で無施肥栽培が基本です。虫喰いはゼロにはならないけど、大被害も出ない生態系が出来て来つつあると思われました。

こちらは新しく借りた2年目の畑。
なんくる農園2
沖積土で粘土がそこそこあるわりに水はけは良いので、土を盛り上げるジャガイモは良さそうです。葉ものには草丈が出なかったり、アブラムシが出やすいなどの作りにくさがあるらしく、下層土が硬いためかと思われました。またリン酸肥沃土も堆肥などで高めやすい土質ですが、まだ履歴が浅いためかニンジンもやや苦戦気味でした。緑肥でうまく回すためにも、一定の化学性補正や地力を高めるための堆肥利用はやった方が良いと思われました。

お昼ご飯は、小田原市内であしがら農の会の野菜をつかった野菜レストランでいただきました。菜食カレーです。
菜食カレー
生姜が効いていて、粒マスタードを使うなど、ぴりっと辛いけれど長く後を引かない辛さで、サツマイモの甘味と野菜の旨味ですっきり美味しいカレーでした。


午後から二宮町の「ぽんぽこファーム」中村さんを訪問。中村さんは炭素循環農法に取り組んで3年目。ようやく今年結果が出始めたといいます。
ぽんぽこファーム1
炭素循環といっても、方法はいくつかあり、中村さんの主な方法は剪定枝チップを4,5t/10aを年間3回ほど敷くというやり方です。昨年秋から今年の冬頃にかけて、炭素循環農法に取り組む農家さんたちの研鑽で、いかに畑の深いところまで空気を入れるかが重要だという認識が高まり、圃場を囲むように深さ80cmや1mの溝を切ってしまうという方法を試したそうです。
ぽんぽこファーム3 ぽんぽこファーム2
こんな溝です。ちょうど重機を借りることが出来たので掘れたそうです。
溝を設置すると、今まで炭素資材をどんどん入れていてもなかなか作物生育が良くならなかった畑の様子が変わり、オクラやモロヘイヤ、サンサイなどがどんどん採れるようになったそうです。まだオクラは元気でした。

話を聞きながら、わたわたは土を観察しました。確かに糸状菌(おそらく担子菌類)がたくさん繁殖していました。多様な担子菌類というより、剪定枝チップが好きな特定のいくつかの菌種がチップを占有している感じでした。また明らかに土が暖かく、かるく発熱している感じでした。この温度だとフトミミズは住み着かないはずです。食菌性のササラダニやトビムシは少しいましたけれど、刈草や藁を敷いたのと同じようには増えていないと思われました。土の表面で剪定枝チップ堆肥を連続して作っている感じです。発熱するような状況だとトビムシも入らないのかもしれません。冬期に地温が下がると繁殖するかもしれないですが。
年間10tの剪定枝チップ、加里は0.1から0.2パーセント程度でしょう。石灰は0.5パーセントくらいあるかもしれません。成分量で10kgから50kgくらいまでの範囲。表層5cmの土壌に入ると、そこのCECが10me/10a・5cmあるとすれば、その60%が石灰飽和度のキャパシティーとすると、6me/10a・5cm。これは石灰(CaO)168kgに相当。加里は加里飽和度上限10%とすると、1me/10a・5cmだから加里(K2O)47kg。もともとの土壌が塩基飽和度50%程度だったとすると、3年くらいつづけると塩基がキャパオーバーしてくるかもしれません。しばらくは深耕でしのげそうですが。

このまま炭素資材が年間10tも入れ続ける必要があるのかどうか、未来の姿はまだ未定とのことでした。
ミネラルの蓄積についてだけでなく、窒素についても、どんなに炭素率の資材を入れても、それを無機化させる系が発達していけばどこかで放出が始まるので、ずっと無機態窒素が少ない状態というのが維持できるかも分からないし、生育の改善は結局何らかの無機態窒素の利用経路が出来た結果なのかもしれない。うまく作ることができるようになったのが溝のおかげというのは、その通りなのかもしれないし、違うのかもしれない。従来の科学では説明できないのかもしれないけれど、従来の科学でまず検証してみていないのかもしれない。

まずはやってみる、出来るようにするというのは正しいとして、出来る兆しが見えてきたのなら、次のステップ、共通の理解ができるようにする検証がいるなと思われました。

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わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

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