ニンジン調査

今日は予告通りニンジン調査をしました。冷涼地の6月中旬まき不耕起栽培に適するニンジン品種の検討です。比較した品種は、「夏蒔鮮紅五寸」(タキイ種苗)、「ひとみ五寸」(カネコ種苗)、「紅あかね」(中原採種場)、「甘美人」(ナント種苗)、「小泉冬越五寸」(みかど協和種苗)の5品種です。いずれも晩春-初夏まきが出来ることで選定しました。「小泉冬越五寸」は固定種、他4品種はF1品種です。

ちなみにサカタのタネの品種もこの作型には合いそうなものがいくつかあり、色が濃いとか収量性とかは魅力なのですが、サカタ品種は自家採種をしようとしても、花粉が出ないので、あえて外しています。他メーカーの品種は雄性不稔を利用したF1と言っても、花粉系にRf遺伝子(稔性回復遺伝子)を持つものが多く、花粉が出るのが普通です。サカタのタネはニンジンだけでなくダイコンでも雄性不稔利用を進め、しかも花粉親系統からもしっかりとRfを抜いている品種を出してきているようです。F1品種を環境適応性を高めた育種素材と捉えれば、その品種を育種や自家採種の素材に用いるかどうかは使う人しだいです。種苗会社同士でもそうやって、お互いの品種をライバルとして育種素材にしあうことによって、良い意味での開発競争も悪い面としては似たような品種ばかりになる現実も作ってきた。それがタネの近代史。花粉を出さない品種は絶対に他人に自分のところの品種を素材としても渡さないという態度。品種による遺伝資源の流通が止まれば、それはタネの歴史の終焉につながる話であり、やがては自らの存在基盤を崩していくこと。その利己的な態度、あまり相手にしたくないというこだわりなのでした。サカタのタネの積極的に新しい価値を提案する育種方針自体は好きなのですけどね。

っとずいぶん横道にそれましたが、
調査はまず5品種を6反復に作付けしているので、各区から一定面積ずつニンジンと雑草を抜き取りました。案の定、草勢の弱い品種はごま葉枯病が出ており、雑草も多かったです。
NT種苗A
この品種はN社A。弱くて雑草に負けてます。

こちらはタキイ種苗の夏蒔鮮紅五寸。
夏蒔鮮紅五寸
葉が丈夫で良く茂り、雑草も少ないです。

次に区画と品種ごとに重量測定。
ニンジン調査1

さらに品種ごとに大きさ順に並べ替えてみます。
ニンジン調査2
こうやって並べると、揃いも一目瞭然です。どの列がどれとは言わないことにします。

「夏蒔鮮紅五寸」は良いものが多いですが、屑もやや多かった。間引き(栽植密度)に対して敏感で、疎植にすると育ち過ぎてしまう感じでした。
「紅あかね」は草勢が最も強く、「夏蒔鮮紅五寸」以上に大物が出来ましたが、裂根や岐根も多く出ました。
表層腐植質黒ボク土ではパワーが出過ぎるのかもしれない。砂質土や高畝にした沖積土向きかもしれません。
意外なことに、固定種の「小泉冬越五寸」が揃いと太りが良かったのです。
この品種はタネが細かく初期生育が遅れ気味でした。そのため間引き時にもパワー不足に見え、若干多めに残されてしまいました。その結果、揃いが良くなったり、太りが良くなったのだと思われました。

「小泉冬越五寸」はもともとは冬越系ニンジンなので、最適作型は7月中〜下旬まきだと思われます。6月中旬でも太りよく、ごま葉枯病によるダメージも少なかったのは発見でした。これは使い勝手の良い品種です。
ということは、「小泉冬越五寸」から不耕起環境でも太りの良いものを見つけて自家採種すると、もっと合ってくるんじゃないかなということも予想できます。

味も見てみました。
甘さで言うと、「夏蒔鮮紅五寸」≒「ひとみ五寸」>「紅あかね」≒「小泉冬越五寸」≧「甘美人」(ナント種苗)です。「夏蒔鮮紅五寸」は後味に心地よい甘さがあり特徴的です。

風味は「紅あかね」は時無五寸(アーリーチャンテネー)系の独特の香りがあります、ニンジン好きには受けるけど、万人向けではないかな。「夏蒔鮮紅五寸」もこの香りはあるけど、マイルドで、甘味が強いため無難にバランス良く収めている感じ。

「ひとみ五寸」はほとんどニンジン臭がなく、甘いので子どもに受けそうな味でした。ジュースにも向きそうです。
「小泉冬越五寸」は甘味・風味もそこそこで落ち度がない。全体にマイルド。まぁ面白みにはかけますが。


細かいデータはこれから解析しますが、見た目の印象では「小泉冬越五寸」がいいなと思いました。


というわけで、その日の夕方、全てニンジンジュースにして、職員らに試飲してもらいました。投票結果です。

夏蒔鮮紅五寸 15票
ひとみ五寸 14票
紅あかね 5票
甘美人 2票
小泉冬越五寸 7票

ジュースにすると、柔らかさなどの食べやすさ・食感の評価がなくなるので、そのまま食べたときの評価とは異なりますが、味と香りに関しては良く分かります。

絞ってすぐの時は、ひとみ五寸が「飲みやすい、甘い」ということで人気でしたが、翌朝になる(半日経つ)と後味が良くないという評価が出てきました。酸化物が多くなるということかもしれません。
その結果、僅差で夏蒔鮮紅五寸が1位。
夏蒔鮮紅五寸は、ニンジン臭はやや強いのですが、甘味があり、バランスが良いという声が多かったです。

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わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

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