米とぎ汁発酵液を考える

米のとぎ汁を使って手軽に乳酸菌を増やして、生活に使おうというのが流行っているらしい。放射能対策にもなるという噂があって、またそれを怪しいデマやニューサイエンスとして批判する人もいて、ネット世界はなかなか賑わっているようだ。

EMを使って米のとぎ汁を発酵させて、掃除や悪臭対策や家庭菜園なんかに使おうというのは10年以上前から行われていて、新しい話ではない。そこにえひめA1-2というヨーグルト・ドライイースト・納豆一粒と砂糖とでとぎ汁からつくる乳酸菌液がEMより安上がりとか効果が高いとか、乳酸菌飲料ラ○レの方が農業上は有用だとか、とぎ汁だけで良いとか、いろいろな情報が混ざって現在の混とんとした状況になっているように思う。

放射能対策はともかく、米のとぎ汁発酵液って何なのかを考えてみたい。

米のとぎ汁というのは、精米した米粒の表面に残っている米ぬかを水洗いした廃液だから、米ぬかでも白米に近い層の部分を薄く水に溶いたものである。米ぬかには、お米と同じ糖質やデンプンの他に、タンパク質、アミノ酸、リン酸(フィチン態)、脂質などが含まれている。また様々な微生物(植物表面微生物, エピファイト)が存在しており、いわゆる納豆菌や乳酸菌、出芽酵母が多く生息している。

米ぬかをそのまま放置すると、米ぬかには10%近い水分が含まれているから真菌類(カビ)が生えてくる。もともと含まれていた胞子や空気中から飛び込んだ胞子が発芽し、リゾープス、ムコール、ペニシリウム、アルタナリア、トリコデルマなどが増えてくる。何が増えるかはその場その時によって異なるのでもし食べれば食当たりすることも多いだろう。土に撒くとこうした真菌類を良く増やすので、使い方により、病害を助長することもあれば、疫病や灰色かび病を防ぐ結果になることもある。

一方、米ぬかを糠床に使う場合は、軽く炒ってから使うので糠に生息していた微生物はかなり殺菌される。しかしもともと数の多い乳酸菌や納豆菌はある程度生き残る。そして高濃度の塩分とともに空気を制限した嫌気-微好気状態に置くことにより、乳酸菌が優先した発酵状態となる。これに連続的に野菜を漬け込むことにより、野菜表面の乳酸菌も取り込まれ糠床は成熟していく。糠ごと食べる糠漬けの野菜1切れの方が、乳酸菌飲料より乳酸菌が多く、しかも多様性も高いということもある。

米のとぎ汁の場合、ペットボトルにでも入れて、軽くキャップをしめておくと、好気性の真菌類は増殖せずにとぎ汁中の糖質やアミノ酸を原料にして、糠中にいた乳酸菌が増殖することが多い。砂糖を1-3%くらい入れると安定して乳酸菌が増えるだろう。しかしこの方法、元の米ぬか、つまりイネの表面に生息している乳酸菌の素性が良くて、雑菌が少ないこと、キレイな容器を使うことが条件だろう。室温とか、家のつくりとか、運の良さとか、性格の良さとかも関係するだろう。なので、この方法はお勧めしない。
糠床との違いは、糠床は次々と野菜を漬け込むことにより、外来乳酸菌が入るのである。野菜の水分やエキスも塩によって糠床へ引き出される。糠床では米ぬか以外に乳酸菌ソースがあり、乳酸菌の多様度が高い。乳酸菌を使って雑多で不均一な構成の有機物を発酵させようという場合、少数の菌種が1つの培養系を占拠するよりも、培養容器内の適材適所に複数種類の乳酸菌が棲み分けした方が、全体としての乳酸発酵の安定度が高まるのだ。

米のとぎ汁は均質な培地ではない。米ぬかは米粒を削ったものだから、水溶性成分、可溶性固形分、米表皮の粒々(沈殿するもの)と不均一である。また乳酸菌とは相性のあまり良くない微生物も入っている。そういう不均一な培地全体を乳酸発酵させる場合には、乳酸菌ソースを増やした方が効果が高く、安定するのである。種類としては多様なものを取り込んだ上で、その糠に含まれる成分やその時々の条件に合わせた乳酸菌の組み合わせが優先菌になることが望ましい。優先菌にならない乳酸菌はいても無駄なのではなく、優先菌が優先でいられるための役割をしていることになる。だから乳酸発酵の誘導役として、多様な乳酸菌を最初に加えておくことが望ましい。

その働きをしてもらうのに、安上がりで安全なものは何か?
えひめA1-2も良いが、乳酸菌は多くて2,3種類であろう。市販の乳酸菌飲料も1つか2つである。EM1に添加されている乳酸菌は5種。製造工程で原材料や環境中から飛び込んで共生している乳酸菌を合わせると20種類ほどの乳酸菌が共生している。比較的容易に入手できる乳酸菌資材のうちEM1より易く安く多様な乳酸菌群を取り込む方法はないだろう。EM1の安全性は公的検査機関により完璧に調べられている。えひめA1-2が良いとか、市販の乳酸菌飲料が良いとかいう情報は、EM1と同じ条件で比較したものではないだろうし、発酵の仕組みや微生物生態系に基づいた話ではなく、何か別の理由からEM1を宣伝したくない、あるいは否定したいという思惑があるのだろう。そもそも米とぎ汁自体に納豆菌はいるのだけれど、あえて納豆菌を入れたければ、EM1と一緒に納豆1粒入れれば良いだけの話である。

さらに米とぎ汁の発酵には乳酸菌資材を加えない方が自然で良いという発想の場合は、基本が分かっていないと思う。これはプロ集団を養成するためには、素人だけでチームを作って、自主トレさせるのが一番良いというような話。EM1やラ○レ菌の有無に関わらず、優先菌になるのは、その場・その時・その条件の米のとぎ汁の発酵に適した菌が自然に選ばれるのだ。添加する乳酸菌というのは、コーチングみたいなもので、真の発酵の担い手は現場にいる菌であり、その菌をどう育てるかという手ほどきをするのが乳酸菌資材なのだ。

というわけで市販資材で最も安心して安定して使えるのはEM1。これを使ってさらに安く安定してつくる方法は、まずEM1を10%加えた米のとぎ汁EM発酵液をつくり、2回目以降はその発酵液を10%+EM1を1%加えて発酵液を作り続ける方法である。いわゆる戻し堆肥方式で、とぎ汁発酵のエキスパート菌を育てつつ、毎回EM1を1%加えて、乳酸菌の多様性を一定程度保つようにするのだ。2回目以降はとぎ汁900mLあたり10mlで20円である。

実はEM1よりもさらに良い方法もある。良質な糠床の上澄み液。糠漬けを作っている人は野菜から出る水分が多いときなど、糠床の水分を調整するために水抜きの容器を入れていたりする。その水。もともと米ぬかを多様な乳酸菌で発酵させているのだからすごい。これをEM1の代わりに使う。毎回1%入れる。但し、糠漬けな臭いが強い発酵液になるかもしれない。農業/園芸用ならいいが、家の掃除にはどうかな〜

御建神社

広島-島根の旅、22日の朝、御建神社へ行きました。朝、PC仕事をしていたら、いつの間にか次の訪問先、はなあふ農園の森くんとの待ち合わせ時間が迫っており、神社へ行く時間がギリギリになってしまいました。諦めようかなぁと思ったのですが、どうしても参拝しないとダメだと感じるものがあり、走りました。走っていたら、森くんからちょっと遅れますというメールが入り、ホッとして無事参拝ができました。本当に予定というのは、予め定まっているんなだなと、単なる同義反復ではなく、本当に必要なときに必要なことが淡々と起こるように自分もあればいいのだなって思いました。

さて御建神社に祀られているのは素戔嗚命(スサノオ)さまで、境内には松尾神社(大山咋神さま)があり、稲荷社も稲荷さまらしく朱色の鳥居をたくさん立てて祀られていました。
御建の稲荷様

こちらが松尾神社。
松尾さま
松尾神社は昭和初年に分霊して建てたようです。


御建神社では本殿の奥の奥のところまで行けるので、正面でお参りしたあとに奥まで行ってみました。
御建神社
この写真の奥の奥です。

そこはもう言葉で表現できませんでした。スサノオはイザナギの禊に際して天照大神、月読見神とともに生まれた三貴子で日本書紀などでは問題児のように表現されていますが、年神さまや稲荷さまの父神、松尾さま(年神さまの子)の祖父神、建御名方神(諏訪大社の主祭神)と事代主神(三嶋大社の主祭神)の父神である大国主神(出雲大社の主祭神)の先祖、っと国津神々と深い縁ある祖さま。現実の国つくり、むすひを進めていく力の源ってこういう心なのかと、・・・・やっぱりうまく表現できませんが、3次元世界の生成化育、自然を形作り、動かしていく理といったものを感じました。関東に多い氷川神社もスサノオを祀っていますが、まだ行ったことがなく、氷川神社もそのうち行ってみたいと思いました。


造化三神による天地開闢を宇宙法則の始まり、天常立ー国常立ー神代七代を時空間の始まり-ビッグバン-素粒子や原子の進化、イザナギ・イザナミによる神産み・国産みを銀河の創造、イザナギの禊を太陽系の創造だとすると、太陽(昼・光・放出力)と月(夜・闇・凝縮力)という天界に対する地上(地球)がスサノオと言えるのではないかと思えます。

そして造化三神の決めた宇宙の法則(天)を具体的に三次元世界へ展開していく担い手が国常立(地)であるとすると、銀河や銀河団のネットワーク(天)が、地球の生態系(地)に呼応していると言えるでしょう。地球上の全ての出来事は宇宙の縮図と言えるでしょう。

なので、国常立の神格を現実の自然の生成化育として表現する神・国津神として表現するとスサノオになると思うわけです。人間は自然生態系の進化から生み出されたとも言えるし、その自然を自己認識して改変して環境汚染を作り出したりしているのだから、天と地の中間に立って、そのバランスの取り方を学習している存在に見えます。人間が調和していくことは、そのまま宇宙のバランスをとることになる。天を読み、地の声を聞いて、人間とは何なのかを、人間同士が争ったり、共感したりしながら学んでいく。それが役割なんだなと思いました。

天然の出来事と同じように、人との出会い出来事も、自分を外してみたら(全く知らない他人のそれとして捉えれば)淡々としたものであるのに、そこに人間=心あるものとして関わると、それは辛かったり、嬉しかったりする。そういう感情がどこから来るのか、その源を考えてみると、出来事を通して起こる現実世界のエネルギーと感情やイメージの世界とをつなぐ変換作用とも言えるなと思います。形なき世界から形ある世界へ張り巡らされた感覚器官、神経組織の末端が人間なのかもしれません。人間の人生を通して、その人間に関わりのある「縁」にエネルギーを送り続け、それが多元的にネットワークされることで、銀河団のネットワークと呼応しあって宇宙が発展しているのだろうなと。そんなイメージが湧いてきたのでした。

農の会2012定例研究会

農の会2012年定例研究会に参加してきました。今年のテーマは「農の力-人に伝えること、人と人とをつなげること」昨年11月に開催された現地研究会で東京の「小平環境の会」との共催で、市民による落ち葉・生ごみの農的利用の実践、都市農業の課題、市民と農家がどのように関わっていくかを考える会を持ちました。

そこでは市民が自分事として生ごみを資源と捉え、都市農業に関わり支えていこうという姿があり、農家は農を通した地域コミュニティづくりを生業としている姿がありました。農を通して 自然と人間、地域資源と食がつながり、人と人とかがつながっていくことを学びました。情報社会となった今日だからこそ、農は人間に必要なものと考えられます。農産物を生産し、消費する営みのなかにある人に伝える力とは何か、どのようにその力が産まれるのか、そして何故、人を繋げる力がそこにあるのかを学びたい。そんな思いからの企画でした。

今回の話題提供は4名。農の現場からの2話、そもそも人と人とがつながるってどういうこと?どうすればいい?っていう話題提供1、そしてわたわたからも農の会の視点・発想から考える「農の力」とは?という話。

話題提供1:つながりのある農業へ "やさいの森" プロジェクト 長野県佐久市 信州ぷ組 石川徹氏
話題提供2:地域コミュニティとしての都市農業 東京都小平市 粕谷英雄氏
話題提供3:人と人とのつながりとは?-コミュニティを支えるもの 静岡県富士宮市 木の花ファミリー 古橋道代氏
話題提供4:作物と人、農と食とをつなげる農の会の視点 長野県会員 石綿薫氏

石川さん、粕谷さんからは、それぞれの農を通して人がつながっていく具体的な話、そこから見えてくる農の魅力や集ってくる人たちが求めるものについて、示唆に富んだ話がうかがえました。古橋さんからは、人と人とが非常に近く生活するエコビレッジから見えてくる、人が調和的に集い、その関係が発展していく際に必要なものについて、整理された話を聞くことができました。何かを目指して人が集まるとき、必要なのは糊(グルー)の明確化。信州ぷ組であれば、規約第二条の信州ぷ組の目的・なぜ自分たちが集っているのかの部分であり、農の会のグルーは生き物に学んでいこうという視点ということになるのでしょう。糊(グルー)は人と人との軋轢が生じたときに繰り返し繰り返し戻り確認するもの。なるほど納得でした。もめ事を乗り越えて発展する方が、人間関係が深くなり、心が通い会うっていうことですね。農の循環系の発達が自然の多様化によって担われているように、多様な人間同士の調和が人の社会も循環型にしていく基本になるのだと思いました。

わたわたは、農の会の視点として、農作物や家畜を「生き物」として捉えること。生き物は独自の生活スタイルがあり、それは進化を通してつくられたということ。そして生き物はその生活スタイルを環境との相互作用の中で発揮させて生活し、その生き物の生活が環境を改変していき、生き物自身の生活スタイルも環境=生態系の様相も変化してきたという見方を説明し、1つ1つ異なる田畑や作物の個性を結びつけていくことが栽培や飼育だすれば、自然と人を結びつけるのは、まさに農の本質であると結びました。その上で農を通して人と人とが結びつくことは、農と食とが結びつき、品種が分化したり、食文化が生まれてきた歴史に見ることができ、それは生活や実体経済における共感や情報の共有によるものであることに特徴があると解きました。そして農業者サイドからは農産物とともにその農産物を通して人を結ぶことを意識していくことが、これからの農の在り方として必要であろうし、消費者サイドでは、少しでも農に関わることで自然との結びつきを感得し、食の本質的な理解が深まり、これからの時代の食に必要な関係を築いていくことになると思うと結びました。

続く討論は、今までと異なり、古橋さんにファシリテーションしてもらい、オープンスペーステクノロジー(OST)という形式で行いました。小グループに分かれることによって、意見を持っている人たちからはどんどん意見を出してもらい、一方でいろいろな意見を聞きたい人は、テーブルを自由に渡り歩いて話を聞けるというものです。
まずみんなでテーブル分けのテーマを出し合い、4つのテーマを設けました。そしてテーブル4つにそれぞれ模造紙とマジックペンを配置し、ディスカッションしながら、話の中身をどんどんメモしていってもらいます。50分ほど話しあって、最後にそれぞれのテーブルの代表者にどんな議論が行われたかを発表してもらい、みんなでシェアするという進行でした。通常、全体での討論では一部の人しか発言しないことも多いし、長々話しする人がいたりするとあっという間に討論時間がなくなったりするのですが、こういう分散型だと多様な意見が出て、多様な意見をじっくりやりとりしたような豊かな討論を持てたように思われました。次年度以降も積極的に取り入れたい討論方法だと思いました。

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わたわた(いしわたかおる)です。料理と野菜を育てることが大好きです。何気ない日常も全てこの地球の表現の1ページ。生命と進化の星、地球を表現すべく、日常の1つ1つに心を込めて「生きる」をやっていきます。

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